毎年8月中旬に訪れるお盆。サラリーマンにとっては貴重な大型連休という意味合いが強いですが、元々はご先祖様などを供養する時期であり、帰省してお墓参りをするのがよくある光景です。
なぜこのお盆という文化が生まれたのか、そして、お盆に食べられる食べ物とは何か、お盆にまつわる由来や意味をご紹介します。
お盆の由来と意味について
お盆の時期になると実家に帰省してお墓参りに行くという人は多いかもしれません。なぜお盆が存在するのか、その由来をご紹介します。
お盆の由来について
お盆がいつ始まったかは明確に決まっておらず、年に2回、初春と初秋の満月になる日にご先祖様が現世と交流する行事が存在しており、初春の満月の日がお正月につながっていき、初秋の満月の日がお盆に変化していったとされています。
本来のお盆は8月ではない?
現在お盆休みは8月中旬ですが、当初のお盆は8月中旬ではありませんでした。元々日本は月の満ち欠けを利用した太陰暦を用いており、太陰暦の7月15日がお盆となっていました。
明治時代、太陽暦に変化する際、太陽暦でもお盆を7月15日で行おうとした際、時期的に農家さんがとても忙しい時期とバッティングしてしまいます。かといって、太陰暦の7月15日を太陽暦に合わせると9月あたりとなるため、7月15日から1か月ずらした8月15日を軸としてお盆の文化が各地で続いていったのです。
お盆の食べ物には何があるか
お盆を象徴する食べ物がいくつか存在しますが、ここではお盆の食べ物を中心に意味などをご紹介していきます。
精進料理
ご先祖様にお供えをする料理として精進料理があります。この精進料理は野菜や海藻などを使い、複数の料理を活用して酸味、辛味、甘味などそれぞれの味付けを行った上で、こんもりと盛られた白飯と一緒に出されます。
元々お盆は仏教の風習であり、仏教は殺生を禁じ、動物や魚を殺して食べることを認めていません。そのため、野菜や海藻など殺さずに済む食べ物を中心に、後は赤や白など5色の色合いを持たせた料理を出します。
5つの味、5つの色、そして煮る、焼くなど5つの調理法を用いるのは、「五味・五色・五法」という禅寺の考えによるものです。
団子
ご先祖様にお供えするものは他にもあります。その1つがお団子です。お供えする団子にも種類があり、まず迎え団子はお団子を積み重ねて、ご先祖様を出迎えるためのものとなっています。
お供え団子はご先祖様が家に滞在中に出されるもので、送り団子はご先祖様を送り出すためにあります。どのような団子を作るかは地域によってバラバラです。そのため、その地域の団子を調べて作ることがおすすめです。
きゅうりとナスで作る精霊馬には何の意味がある?
お盆と言えば、きゅうりとナスで作る精霊馬が有名です。この精霊馬にはどのような意味があるのかご紹介します。
きゅうりを用いる意味
きゅうりに割りばしなどを刺して馬を作りますが、この場合の馬は、ご先祖様に早く帰ってきてほしいという意味合いです。馬はスピードがあり、素早さの象徴と言われています。そのため、お盆中は早く現世に戻ってきてほしいという意味できゅうりで馬を作ります。
ナスを用いる意味
一方でナスにも割りばしなどを刺しますが、こちらは牛です。牛にはゆっくり帰ってほしいという意味があります。急いで現世に戻ってきて、あの世に帰るのはゆっくりでいいという意味から、少しでも長く一緒に居たいという気持ちが込められています。
精霊馬にはこのような意味がありますが、お盆の食べ物にはご先祖様と現世でできるだけ長く過ごしたいという意味、配慮が込められていると考えてよさそうです。
まとめ
本記事では、なぜこのお盆という文化が生まれたのか、そして、お盆に食べられる食べ物とは何か、お盆にまつわる由来や意味をご紹介しました。
お盆は昔から伝わる日本独自の大切な文化です。今年のお盆は、しっかりとその意味や目的を理解してご先祖様を想いながら過ごしてみても良いかもしれません。